切り絵入門

紙とカッターさえあれば切り絵が作れますが、その手法はさまざまです。
切り絵サークルもあるけれど、私のは我流です。
「ヨハンナ流」切り絵の作り方をご紹介します。みなさんも作ってみませんか?

用意するもの

私のモットーは「安く」て「身近な物を利用する」です。
高い道具を揃えなくても切り絵はできます。現在私は和紙にだけは拘っていますが、他の物はどこでも手に入る安価な物、または身近にある物を加工して使っています。

下絵を描く白い紙と切る紙があればOK。

下絵を描く紙は私はモノクロの時は手に届く所にある(^^;)プリンター用紙を使い、カラーの時は色を入れる型紙を作るためにトレーシングペーパーも使いますが、コピーしてもいいのでチラシの裏でもかまいません。

切る紙も黒じゃなくてもいいのです。黒以外の色でも面白い効果が出ます。私は黒が好きですが。(^^;)現在は和紙に拘って、手漉き和紙を問屋さんから買って使っていますが「切り絵ギャラリー」にあるように、最初は画用紙でした。あと洋紙ならラシャ紙が安くて手に入りやすいし、糊づけや加工が簡単です。
刀 いろいろな刀(とう)を使いましたが、これは私が愛用している刀です。向かって左は事務用品売り場で売っている細工用のカッター。今回の手本はこのカッターのみ使用。高校時代から使っています。カッターは刃を取りかえるだけで研がなくてもいいから便利。

他の4本は札幌の職場でナイフ作りが趣味のスタッフの手作り。ちゃんと焼きを入れた本格派。手垢がついていますね。(^^;)高い切り絵専用の刀も持っていますが私はどうもダメ。
その他 あとはカッティングマット(これすら最初はガラス板やベニヤ板を使っていた)、糊、作品を貼る台紙。これだけあればできます。カラーにするなら絵の具、色紙など、仕上げによって変わってきます。私が持っている道具でたぶん一番高かったのは大きな紙を切るために買ったこれまた事務用品売り場にあるサイドカッターと刀の刃を研ぐための砥石だったと思います。(^^;)


下絵を描きましょう

テーマは何でもお好きなものを。絵を描くのが苦手とか刀の練習には気に入った絵をコピーして切ってもいいかと。著作権法に抵触するので切り絵ギャラリーには載せていませんが、私は切り絵という言葉が生まれた元となった切り絵作家第一人者と言われる滝平二郎先生の模倣から始めました。風景や静物が切り絵の典型的な図案ですけれど、私はこれまた滝平先生の影響か、人物、とりわけストーリー性のあるもの、生活臭のあるテーマが好きです。

下絵 下絵 好きな大きさでかまいません。私は安く作るのをモットーとしていますから(^^;)安売りの額や台紙が手に入るA4だの八つ切りだのという典型的な大きさが多いです。これはA4のプリンター用紙に鉛筆で描きました。

私は切るか、残すかという切り絵の制約を大事にしたくて写真のように枠を作り、どこかが必ず、この外枠と繋がるという一筆書きのような手法です。切り絵作家の中にはまったくバラバラにする人もいますからお好みで。

モノクロか、カラーかもここで決めます。モノクロの場合は黒の比重が多い(残す部分が多いということ)方がひき立ちます。今回はモノクロにしました。
固定 固定 切る黒い紙を下絵よりも一回り大き目に切って、下絵に固定します。見づらいかもしれませんがホッチキスで何ヶ所かとめます。大きな作品でホッチキスて固定できない場合は四隅にキリで小さな穴をあけ、細いこよりで固定します。


切りましょう

いよいよ描いた下絵を切ってみましょう。…と、その前に刀の基本的な使いかたをごく簡単にですがご説明します。

刀の使い方 イエス様の髪の毛 これは上の下絵のイエス様の髪の毛の部分です。矢印の方向で切らないと紙がよじれて綺麗に切れません。切る時は図のように交差させて完全に切りましょう。
マリア様の髪の毛 マリア様の髪の毛です。わかりやすいようにわざとバラバラに離して太く拡大し、白黒反対にして上同様、絵にしました。実際には白い所が切る部分になります。

髪の毛や流水などで使う「これぞ切り絵!」という刀の使い方ですが、その分、難易度は結構高いです。でも練習して刀に慣れればできますから大丈夫。(^^)

上同様、向こう側から手前に切ります。本当はもっとくっついていて非常に細いため、切れたり、紙がよじれたりするので指でしっかり押さえ、カッターをねかせ気味にして腕全体を動かして一気に切ります。下絵はあくまでも目安です。ずれても新たに絵を描くつもりで切った方が絵が生きます。

他にもたくさんテクニックがありますがおいおいと…
切り上がり 切り上がり 切る時は『細かい部分から大まかな部分』へ、『内側から外側』へが原則です。外枠は一番最後に切り離します。コツは絵を回したり、カッターの刃をこまめに換えること。この絵だと光輪の部分は絵を回さないと丸く切れません。切り終えたら裏から切り残しがないか確かめて、もしあればその部分を裏から慎重に切ります。

上に書いたように交差させて完全に切り離さないと和紙は特に引っ張るとちぎれて仕上がりが汚くなります。切れたら下絵をはずします。この瞬間が一番楽しいですね。左の写真は1枚の黒い紙だけ。FAXのキャリアシートにはさんで撮りました。切り終えましたがまだ完成ではありませんよ。(^^;)


台紙に貼りましょう

このままでもいいのですが、せっかくですから作品として保存するために台紙に貼りましょう。厚紙、画用紙、ケント紙、イラストボードなどが安くて手に入りやすいですが、糊をつけた時ののびかたやちぢみかたが違うので和紙と洋紙の混合はしない方が綺麗に仕上がります。この作品は板目紙に貼りました。また、和紙と洋紙では使う糊も違ってきます。いろいろ試行錯誤しながらなので「これがいい」とは言えませんが、みなさんも工夫してみて下さい。

のり 糊 右から木工用ボンド、スプレー糊、ヤマト糊、障子用糊。洋紙の場合はスプレー糊が一番簡単。和紙の場合は美濃紙、越前和紙などそれぞれ特徴があり、ヤマト糊と木工用ボンドを混ぜたり、水でのばしたりと試行錯誤。貼る台紙によっても変わってきます。
小道具 竹串 今回のようにモノクロなら幅の広い障子用の刷毛(ない時はお好み焼きのソースを塗る刷毛で代用。^^;)で塗りますが、細かな所は竹ぐしを平らに削って使っています。いずれも台所用品だし、ほんのちょっとの手間だけで安上がりですが、くれぐれも手を削らないように。(^^;)
糊づけ 肝心なところが自分では写真が撮れないのでごめんなさい。洋紙は上に書いたようにスプレー糊でシュッ、ペタッ、終わり。

和紙は糊をのばしたり、混ぜる時には水の分量や混ぜる糊の種類にもよりますが、いったん伸びますからそれを計算に入れて台紙をこころもち大きめに切り、額に入れる時にはみ出した部分を切ります。

  1. 綺麗な紙の上に作品を裏返して半分にまず、刷毛でまんべんなく糊をつけ(ダマになったり、多すぎてベタベタにならないように注意)
  2. 台紙に貼って表から半紙など吸水性のある紙で上から軽く押さえて糊けをぬぐう。
  3. 下敷きの紙を取り替えてあとの半分を同じように糊づけすると綺麗に仕上がります。細かい所は上の竹ぐしの出番。裏からそっと糊を差し入れます。
いずれも紙の表面に糊がつかないように慎重に。和紙は乾くと縮むので(逆に言うと貼ってすぐならある程度の修正もききます)しわにならないように完全に乾くまで重しをします。

これで出来上がり!額に入れると愚作でも立派に見えます。(^^;)

完成品はこちら

次回はカラー作品の作り方や生活での応用などもご紹介します。
「切り絵」は筆で描く絵とは一味違った魅力があります。
難しく考えずにみなさんも作ってみてはいかがでしょうか。

次回へ続く

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